Saturday, January 9, 2010

ミャンマー総選挙、10月10日軸に調整 軍政筋明かす

2010年1月7日9時8分



 【バンコク=山本大輔】ミャンマー(ビルマ)の軍事政権が独自の「民政移管プロセス」の一環として今年中の実施を表明している総選挙について、軍政筋は6日、10月10日の投票を軸に調整が進んでいると明らかにした。現職閣僚の多くが4月までに辞任して立候補する予定で、投票時期については「選挙活動に半年ほどが必要」との判断が働いているという。

 軍政筋によると、選挙は人民代表院(下院=定数440)と民族代表院(上院=同224)で同時に実施され、4月前後に選挙法や政党法などが公表される見通し。軍政は閣僚を辞任する高位軍人らに加え、翼賛組織「連邦団結発展協会(USDA)」のメンバーらに2~3の翼賛政党を設立させるとみられている。

 2008年5月に成立した新憲法では、上下両院の議席の4分の1は軍が指名することになっており、選挙で決まるのは残りの議席。ここに軍の影響下にある議員を大量に送り込み、選挙後も実質支配を続ける体制を作り上げるのが軍政側の狙いだ。

 選挙を見据えた動きも出始めた。軍政は、数十万人の公務員の給与を今月末の支給分から一律2万チャット(実勢レートで1840円)増とする方針を決めたが、政府職員の票の取り込みを狙った措置とみられている。

 外交筋によると、民主化運動指導者アウン・サン・スー・チーさんが率いる国民民主連盟(NLD)など、反軍政勢力にも選挙への参加を認める可能性が高い。民主的な選挙を装い、選挙後の新政権の承認を国際社会から引き出す狙いだ。

 ただ、軍政の弾圧でNLDは組織の弱体化が進んでいるとされ、スー・チーさんの軟禁解除も「軍政は容易には応じない」(外交筋)との見方が強い。スー・チーさんが自由に活動できなければ、選挙に参加しても厳しい戦いを強いられるのは必至で、NLDは参加の是非を慎重に検討しているとみられる。

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